こんにちは。所長の須藤です。

訪問看護の現場では日々様々なことが起こっています。
人と人との関わりあいの中で、印象に残る様々なエピソードが生まれます。

弊所がお世話になっている、日本訪問看護財団では、そういった訪問看護師が
体験した様々なエピソードをまとめた冊子を作成されています。

今日はその中から、石川県の訪問看護士さんが書かれているエピソードを
紹介しようと思います。

(以下原文のまま掲載しています)
 
『あきらめないで良かった 九谷焼の絵筆再び』
私は訪問看護を始めて8年目。そのうちの7年間を共にしたご夫婦のお話です。
お二人は九谷焼の絵付師で、毎朝一緒に散歩に出かける仲睦まじいご夫婦でした。
ところがその散歩中、奥様が突然倒れ、脳出血の診断で左半身麻痺、
右半身不全麻痺、失語症となり、胃ろうが必要な状態になってしまいました。
視線は合わず、声掛けでの反応もなく、自発的な動きもまったくない状態になりました。
退院後、ご主人は在宅看護を希望され、訪問看護が開始になりました。
そしてご主人の献身的な介護が始まりました。

主治医は民間病院の医師で、大学病院からの派遣だったため7年間で7人変わりました。
どの医師も「もうこれ以上良くなることはない」と言いました。
「身体が大きいと介護負担が大きいから」と栄養剤の量も減らされ、薬の見直しもされませんでした。
奥様の身体は廃用症候群が進み、やせて顔色もどんどん悪くなっていきました。
ある日、ご主人に言われました。
「これが本当に妻のためなんだろうか。妻にとって少しでもいいことをしてほしいのに」と。

私はご主人の思いを聞き出し、その後何度も主治医に、栄養剤と薬の見直しをお願いに行きました。
6人目の医師の時、栄養剤を増やしてくれました。7人目の医師の時、やっと薬の見直しをしてくれました。


するとその後突然、奥様の目が、首が、右手が動き出したのです。
7人目の医師はこの反応に「薬が強くて(動きが)抑制されていたのかもしれない」と言いました。
悲しい現実でした。

奥様はその後、ご主人の声にうなずき、手を取り反応できる日々を取り戻すことができました。
ある日、私は奥様に、かつて使っていた「九谷焼の絵筆」をお見せしました。
すると奥様はうれしそうな表情をし、何の迷いもなくその筆を持ちました。
7年間、奥様は忘れていなかったのです。
ご主人はそれを見て号泣されました。そしてこの私も。
「あきらめないで良かった」と、心から思えた訪問看護の思い出です。
 

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